なぜ神奈川県逗子市の事故物件は増加しているのか?

2023年02月16日

所有している物件内で人が亡くなり、いわゆる「事故物件」となってしまうと、特殊清掃や残置物撤去しなければならない上、借り手や買い手が見つからない、賃料や売値が下落するなど、何かと所有者の方は苦労を強いられることになります

今、日本ではさまざまな要因で事故物件が増加してきている現状がありますが、逗子でも例外ではありません。今回は逗子市内で事故物件が増加している背景や活用方法についてご説明します

逗子の土地

都心から近い逗子はこれまでベッドタウンとして発展を遂げてきました。一方で山々に囲まれ、駿河湾に面していて富士山も一望できるロケーションから、観光地やリゾート地としても人気。海岸沿いのエリアにはホテルやリゾートマンション、別荘が建ち並びます。特に大崎公園や披露山公園周辺の披露山庭園住宅地は「日本のリバリーヒルズ」とも呼ばれるほど。経営者や芸能人も多く住んでいるそうです。

都心にも容易にアクセスできて通勤・通学が便利で、なおかつ程よい自然も感じられる逗子市は、落ち着いて暮らすにはぴったりの街です。

自殺者による事故物件化

利便性が高くて風光明媚な逗子市ですが、事故物件化する不動産が増加傾向にあります。その要因の一つとして挙げられるのは自殺です。今、残念なことに日本では毎年2万人以上の方が自ら命を絶たれ、特に20代、30代の死因の第1位は自殺となっています。

逗子市の令和2年度の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は13.44と、全国平均の16.44、神奈川県全体の14.3と比較すると低いのですが、令和2年、令和3年にはそれぞれ8名の方が自殺されています。

特に近年では新型コロナ禍による経済的な困窮やストレスによって自殺される方が増えてきていて、大物芸能人や有名人が自ら命を落とされるケースも増えてきています

逗子市の「こころの健康・自殺対策」

逗子市役所では「こころの健康・自殺対策」という取り組みを行っています。「逗子市自殺対策計画策定等検討会」を発足し、市民の声も聞きながら心の健康の維持と自殺対策を強化していくそうです。

さらに、2019年には「誰も自殺に追い込まれることのない逗子市」を目指し、「逗子市自殺対策計画 ~いきるを支える逗子~」を策定。生きることを支える人材の育成、市民への啓発・周知、地域・庁内組織間における連携の強化、生きることの促進要因への支援という4本柱で対策に取り組んでいくということです。

自然死による事故物件化

事故物件が増加しているもう一つの要因は高齢化です。通常、物件内で老衰や病死などの自然死が発生したとしてもその物件は事故物件には該当しませんが、死後期間が経過してから発見される、いわゆる「孤独死」があった場合は、事故物件として扱われてしまいます

近年、少子高齢化の影響で一人暮らしをされる高齢者の方が増えてきており、孤独死も大きな社会問題となってきています。
今、日本は超高齢化時代に突入しつつありますが、逗子市内でも例外ではありません。特に高齢者が住んでいるマンションやアパートでは、孤独死が発生しないように対策を講じていくことが重要です

高い増加率を見せる高齢人口

平成29年度の逗子市の人口は約6万人ですが、そのうち65~74歳の人口は約8,500人、いわゆる後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人口は約1万人。高齢化率(人口に占める高齢者の割合)は31.1%、後期高齢化率は16.9%。およそ5人に1人は高齢者ということになります。ちなみに平成29年度の全国の高齢化率は27.7%なので、逗子市は特に高齢化が進んでいる地域といえます

さらに特筆したいのは一人暮らしの高齢者の人口です。平成23年度は1,396人でしたが、26年には1,500人を突破し、29年度は1,542人と増加の一途を辿っています。

少子化に歯止めがかからないなか、今後も逗子市ではますます高齢化が進み、それに伴って単身の高齢者も増えていくのは間違いなさそうです

【逗子市の事故物件エピソード】川端康成が住んだ逗子マリーナ

『伊豆の踊り子』で知られる川端康成は日本を代表する作家ですが、昭和47年に逗子市内で自ら命を絶ってしまいました。川端が執筆部屋として使っていた「逗子マリーナ」はホテルのような内観に窓からは駿河湾と富士山が見えるという高級リゾートマンションです。47年4月16日の夜、逗子マリーナの管理人に「ガスの臭いがする」という通報が入り、現場に駆けつけてみると、ガス管を加えた状態で川端が倒れていたそうです

遺書はなく、創作活動が思うように進まないことに悩んでいた、親交が深かった三島由紀夫の自殺に衝撃を受けた、老醜に恐怖を感じたなど、動機には諸説あるようです。

48年越しの入居者~2020年に売却~

川端が息を引き取った逗子マリーナの一室は事故物件となってしまいました。20年間買い手が見つからず、川端の作品やコレクションしていた美術品を置く物置のような使われ方をされていたそうです。日本を代表する文豪が自殺したというニュースは大々的に報道されました。逗子マリーナは現場として広く知られることになってしまったので、売れないのも無理はないことです。

しかし、48年越しの2020年にある女性が「購入したい」と名乗り出ました

価格は3600万円

女性は特に川端のファンというわけでもなく、その部屋で川端が息を引き取ったことも知らなかったそうです。逗子に別荘をほしいということで逗子マリーナを内見したそうですが、川端が自殺したことを告知されたときは悩まれたそうです。ただ、友人から「日本を代表する文豪の部屋が売りに出るなんて滅多にないよ」と言われたのが決め手で、なんと3,600万円で購入されました。

バルコニーから一望できる江ノ島や富士山。川端が見ていたものと同じ景色を見て、女性はマンションを受け継いだ「縁」を感じるそうです。

このエピソードは「※川端康成がガス自殺したマンション 購入女性が語る住み心地とは?」で詳しく紹介されているので、ご興味がある方はぜひお読みください。

逗子市の事故物件買取業者

不動産が事故物件化すれば、売るのも賃貸するのも大変です。しかし、全く売れないということでもありません。今回ご紹介した事例は少し特殊ですが、事故物件でも不動産としての価値が認められれば十分チャンスはあります

トラブル不動産買取センターは訳あり物件に特化した不動産買取業者です。事故物件であっても確実に買取らせていただきます。特に海が見える物件はリゾート物件としての需要が高いため、高価買取が可能です

事故物件でお困りなら、ぜひ一度ご相談ください。