
2022年05月20日
「自宅が再建築不可物件かもしれない」「再建築不可物件かどうかわからない」……そんな方もいらっしゃるかと思います。物件を売却する上では再建築不可物件に該当するかどうかが非常に重要となってきます。仮に再建築不可物件かどうかをあいまいにしたまま売りに出した場合、後で大変なことにもなりかねません。一方で「よくわからないから」といってそのままにするのも考えものです。
今回はご自身が所有する物件が再建築不可物件なのか、そうでないのかを調べる方法をご説明します。特に売却をお考えの方は、これを参考にして物件をもう一度チェックしてみましょう。
目次
再建築不可物件かどうかは役所の建築系部署に確認するのが基本
ご自宅や所有されている不動産が再建築不可物件かどうか、一番手っ取り早く確認する方法は市区町村役場に聞いてみることです。土木関係の部署や建築系の部署の窓口に相談することで、再建築が認められているのか?認められていないのか?を調べてくれます。
ただし、唐突に窓口を訪れて「調べて」と言っても、確認することはできません。以下のような資料を用意して持参しましょう。
登記事項証明書について
不動産を取得したら登記手続きを行います。登記事項証明書とは物件の住所や土地の所有者、建物面積といった登記簿に掲載されている情報が記載されている書類です。所管する法務局で発行をしてもらえます。窓口の場合は600円、オンラインで請求する場合は500円程度の手数料が必要です。
公図について
土地の位置や形状を記した簡易的な図面のことです。公的な書類として明治時代から採用されてきましたが、近年では地図に置き換えられています。
公図がある場合は公図を、地図に置き換えられている場合は地図を、市区町村役場の窓口に持参します。やはり法務局の窓口やオンラインで申請が可能で、手数料が430~450円かかります。
建物図面について
建物図面とはその名のとおり建物に関する図面です。建物がどんな形状をしているか?敷地のどこに位置しているのか?を示した図面のことです。
同様に法務局の窓口もしくはオンラインで申請を行い、450円の手数料がかかります。
参考例:※引用元…盛岡地方法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/static/33zumen.html
地積測量図について
地積測量図は道路や隣地との境界や土地の面積を示した図面です。こちらも法務局の窓口かオンラインで申請し、400円程度の手数料がかかります。
なお、これらの書類を申請する場合は地番を指定しなければいけません。一般的な住所とは異なるケースが多く、法務局で確認することができます。書類を申請する際には地番についても確認しておきましょう。
参考例:※引用元…盛岡地方法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/static/33zumen.html
再建築不可物件であるか調べずに売却などした場合はペナルティが発生することも
再建築不可物件であることを知りながら、あるいは知らない状態で再建築不可物件を売却すると後々大きなトラブルが発生するリスクが極めて高くなります。
民法では売り主は買い主に対して何らかの瑕疵(欠陥や不具合)がある物件を引き渡してしまった場合、契約不適合責任を負わなければなりません。再建築が認められない再建築不可物件は法的瑕疵に該当し、仮に引き渡し後に再建築不可物件であることが発覚した場合、損害賠償請求や減額請求、契約解除請求などがなされるリスクがあります。
「知らなかった」では済まされません。不動産を売却する際には必ず再建築不可物件かどうかを確認しましょう。もちろん、再建築不可物件であることを隠して売るのは言語道断です。
再建築不可物件は実際どのように取り扱われている?
今、国内で流通している不動産の15件に1件は再建築不可物件であると言われています。「自宅を売ろうとしたら再建築不可物件だったことが発覚した」「所有している不動産を役場で調べてみたら再建築不可物件に該当した」というケースも意外と多いのです。再建築不可物件の話は他人事ではありません。
ここからは不動産取引の現場で再建築不可物件がどのように扱われているのか?専門業者の視点でお伝えします。
メリットよりもデメリットが大きい再建築不可物件
前述のとおり再建築不可物件は瑕疵がある物件であるため、どうしても一般的な物件と比較すると価値が下がってしまいます。建て替えもできず、売りに出そうとしても買い手が見つからないか、相場よりも大幅に価格が下がってしまう可能性が高いです。ローンを組もうにも再建築不可物件では担保価値が低いとみなされ、審査が通りにくいというデメリットもあります。まれに安さに惹かれて購入する人もいますが、まず積極的に買いたがる人はいません。
メリットと言えば固定資産性や都市計画税が安いくらいで、不動産取引の現場においてはほぼメリットがない・使い道がない物件という扱いを受けてしまっています。
賃貸や駐車場化による収益化を図るケースもあり
再建築不可物件では建物の増築や新築は認められていませんが、部分的な修繕やリフォームであれば可能です。今ある建物をリフォームして賃貸物件として運用するケースも少なくありません。
更地にすることもできるので、建物を解体して駐車場やコインパーキングにするという事例もあります。
ただし、いずれにしてもある程度の投資が必要です。賃貸経営であれ、駐車場・コインパーキングであれ、商売であるのには変わりありません。利用者がいなければ失敗して赤字になってしまうというリスクも伴います。駅チカやオフィス、商業施設などに近いなど、よほど立地的に魅力があるといったケースでないとなかなか難しいです。
面倒くさいしとりあえず放置…が危険なワケ
再建築不可物件は売ることもできず、活用も難しいため、結局放置されてしまうケースも非常に多いです。しかし、これはこれでさまざまな問題が発生するリスクがあります。
「面倒くさいからそのままにしよう」「買い手が見つからないからしばらく売るのをやめよう」と問題を先送りすることで、さらに深刻な事態が発生する可能性もあります。ここからは再建築不可物件を放置するリスクについて考えていきましょう。
固定資産税と都市計画税はかかる
再建築不可物件は評価額が低いため固定資産税や都市計画税も若干安くなります。とはいえ、所有し続ける以上これらの税金がかかり続けることには変わりありません。毎年数十間年ものランニングコストをかけて住まない・活用しない不動産を所有し続けるのは、非常にもったいないことです。
再建築不可物件を手放せば固定資産税や都市計画税を支払う必要がなくなります。ランニングコストがなくなるだけでも家計にとってはプラスといえます。
火災や犯罪利用など様々なリスクが発生する
再建築不可物件は往々にして築年数が古く利用価値も乏しいため、空き家になりがちです。適正に管理されていないと不法侵入などの事件が発生する、犯罪者や不良者のアジトになる、野生動物の住処になってしまうなどのリスクがあります。こうなると近隣住民にも多大な迷惑がかかります。
また、火災や倒壊事故などが発生した場合、慰謝料や損害賠償などで多額の出費が発生する可能性があります。
まさかそんなことも?知っておきたい空家トラブルリスト
事例 | 詳細 |
---|---|
家の倒壊や火災 | 家に人の出入りがなくなり閉め切った状態が続くと、想像以上に早く老朽化が進みます。それにより、地震や台風時には倒壊するおそれもあるので注意が必要です。また空き家は放火などの犯罪のターゲットになるリスクも生まれます。 |
災害時の屋根材などの飛散 | 倒壊だけでなく、屋根材や外壁材、雨樋などが劣化し、台風などの災害時に落下したり、飛散する可能性があり、近隣住民とのトラブルがあり得ます。 |
害虫や雑草の繁殖 | 敷地内の雑草が繁殖し、害虫を呼び寄せてしまうこともあります。庭木の枝が隣人の家まで伸びてトラブルに発展したり、空き家で害虫が繁殖してクレームが発生するという事例もあり得るでしょう。 |
ゴミの不法投棄などの犯罪被害に遭う | 空き家が粗大ごみや生活ごみの不法投棄場とされた場合、大量のゴミが捨てられることもあり得ます。その場合の処分費用も馬鹿になりません。 |
近隣の不動産価値を下げる | 荒れた状態の空き家があると、その土地や建物そのものだけではなく、近隣の不動産価値まで下げてしまう可能性もあります。そのため、近隣住民から迷惑がられたり恨まれたりして、トラブルに発展する可能性も。さらに、空き家の購入者が見つからないという悪循環にも陥ります。 |
特定空き家に指定されると税金負担が急増 | もし特定空き家に指定されてしまうと固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、収める税金の額が最大6倍まで跳ね上がってしまいます。 |
実は売却もあり?買い手から見た場合の再建築不可物件の魅力とは
所有し続けるだけでもさまざまなリスクがともなう再建築不可物件。使い道がない・住まないのであれば早めに手放してしまうのも一つの手です。前述のとおり再建築不可物件は一般的に非常に取引がしづらいのですが、一方で以下のように再建築不可物件ならではのメリットもあります。
購入価格が安い
再建築不可物件の売却額は一般的な物件の相場よりも3~4割程度安くなる傾向があります。買い手にとっては周辺の相場よりも3~4割安く買えるため、「掘り出し物物件」と捉えられることもあります。前述のとおり、あえて価格が安い再建築不可物件を購入する人も少なからずいます。
特に立地が良い、物件が魅力的なものであるといった長所があるのであれば、むしろ周辺の一般的な物件よりも早く買い手が見つかる可能性すらあります。
リフォームで利回りの良い投資物件に変わる可能性もある
物件を購入するのは自分で住む「住宅用」だけではありません。賃貸経営をしている方が「投資用物件」として購入するケースも多いです。初期費用が低ければ低いほど、利益率も高くなるため、価格が低い再建築不可物件は魅力的な物件と言えます。再建築不可物件リフォームして利回りが高い投資物件として運用されている投資家の方もいらっしゃいます。
ただし、リフォームで多額の出費がかかるため、物件のコンディションによって変わってくるというのが実情です。
売却を行う上で絶対押さえておくべきリスクとは
上記のように再建築不可物件でも売れるチャンスは多々あります。ただし、売却のハードルは決して低くはありません。一般的に再建築不可物件ではローンが通らないため現金一括となり、二の足を踏む買い手が多いです。
投資用としてもリフォームなどで費用がかかるため、よほどの好立地でないと難しいです。仲介業者に依頼してもいわゆる塩漬け状態になってしまい、ランニングコストだけがかかってしまうというケースも結構あります。
売り手にとっても契約不適合責任を負わなければならない、売却前にある程度修繕しなければならない、買い手が見つかるまで時間がかかる可能性があるなど、決して再建築不可物件の売却は容易ではありません。
特に仲介業者経由では時間がかかりがちなので、不動産買取業者に依頼するのがおすすめです。
スマートな売却を進めたい方は是非私たちにご相談ください!
再建築不可物件は売却するにしても、利用するにしても、そのまま維持し続けるにしても、費用やリスクが伴います。であるならば、早めに手放して出費や問題が発生する可能性を最低限に抑えるのが得策と言えます。
トラブル不動産売却センターでは再建築不可物件をはじめ、トラブルがある不動産を専門に取り扱ってきましたので、好条件での買取りが可能です。契約不適合責任は免責で、そのまま物件をお売りいただけます。弊社に直接売却いただくので、時間もかかりません。
再建築不可物件の売却にお困りなら、私たちにご相談ください。