藤沢市の「道路境界線」設定ミス。再建築不可物件の驚愕ニュースを専門家視点で解説

2022年06月15日

これまで当サイトでは再建築不可物件に関する規制や再建築できるようにするための条件について、さまざまな角度からご説明してきました。

最近、建築基準法の接道義務の規制が改めて厳しいものであることを感じさせるトラブルが神奈川県藤沢市で発生しました。建築後の新築住宅が接道義務を満たしていなかったという理由で、建て替えを余儀なくされてしまったという事案です。

今回はトラブル不動産専門家の目線でこの問題について解説します。

藤沢市の「道路境界線」設定ミス。驚愕のニュースを専門家視点で解説

まずは今回起こったトラブルについて簡単に解説します。Aさんは神奈川県藤沢市内で2018年に新築住宅を建てました。Aさんの土地はもともと接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという建築基準法上の規制)を満たしていない再建築不可物件であったため、藤沢市が作成した「指定道路調書(道路の位置や幅員などを記した書類)」にもとづいて建築条件を確認し、セットバック(自分の土地を後退させて道路用地として明け渡して接道義務を満たすこと)をした上で建築したそうです。

しかし、その後指定道路調書が間違っていたことが発覚。Aさんの土地は道路境界線が正しい位置よりも55cm手前に設定されていました。つまり、Aさんの家はさらに55cm分セットバックしなければ建築基準法違反となってしまうのです。結局Aさんは自宅の建て替えを余儀なくされました。藤沢市はミスを認め、解体費用や住宅再建費など約2,345万円をAさんに支払ったのです。

今回は行政側のミスということでAさんは賠償を受けることができ、金銭的な損失は抑えることができました。しかし、一度建てた新築住宅をわざわざ取り壊して再度セットバックをし、新しい建物を建て直さなければならないという事態に陥り、多くの時間的損失や気苦労があったのは想像にたやすいです。それだけ建築基準法の接道義務は厳しい要件といえます。

Yahoo!ニュース

引用元:Yahoo!ニュース

私達に関係するのはニュースの裏側、物件家主の立場は?

前述のとおり、Aさんは指定道路調書という行政が作成した公式の書類にもとづいてセットバックをしました。おそらくAさんも、担当した建築会社などの関係者も、家が建てられるようになって喜んでいたと思われます。しかし、建てた後に自分の家が建築基準法の接道義務を満たしていない物件=再建築不可物件であることが発覚し、取り壊すという羽目になってしまいました。その要因となったのは、前面道路の幅員がたった55cm分足りなかったということです。

いかに建築基準法の基準が厳格であるのか、再建築不可物件を再建築可能にすることがいかに難しいことなのかを、改めて感じさせる事例といえます。

今回は賠償金が取れた。しかし…誰でも取れる?

家主であるAさんは無事に自宅の工事が終わり、新居で普通の暮らしをしていたことでしょう。そんなさなかに突然市から「お宅の家は建築基準法を満たしていません」と知らされるのです。Aさんの心中は穏やかではなかったことは容易に想像できます。

不動産会社に相談したのか、弁護士に相談したのか、報道では明らかにはなっていませんので憶測にはなりますが、おそらく何らかの専門家に相談し、市と交渉してミスを認めさせて再建築に必要な費用を賠償してもらえることになったと思われます

市に不満を持ちつつも泣き寝入りしてしまう人もいるかもしれません。Aさんは心構えがあって問題に適切に対処できる人物であったと考えられます。もし、誰にも相談できていなければ、行政側の通知をそのまま鵜呑みにしてしまっていたら、解体費用や住宅再建費の2,345万円は自腹で負担していたことになっていたかもしれません

また、取り壊し後にセットバックすることになったため、その分だけ前の自宅よりも狭くなってしまったことが伺えます。これもAさんにとっては大きな苦痛の種になっていると思われます。

金銭的な損失は賠償してもらえたものの、心労や時間的な損失は大きく、Aさんにとっては不幸な出来事以外の何物でもなかったことは間違いありません

再建築不可物件を自己処理するのは覚悟が必要

セットバックをするなどご自身で再建築不可物件を処理するのは容易ではありません。今回の事例のように、何らかの要因で実は後から建築基準法に違反していたことが発覚する可能性も稀ですがありえます。
今回はセットバックに通った後のトラブルですが、そもそも通らない・通すための要件が揃わないといったことが往々にしてあります。

再建築不可物件を仲介で売却

前述のとおり、再建築不可物件を再建築可能な状態にするためには手間がかかり、大きなリスクがともないます。後からトラブルが発生する可能性もあるため、買い手がなかなか見つからないのが実情です。とはいえ、再建築不可物件を所有していれば固定資産税などのコストが掛かり、損失が出続けることになるので、早めに売却するのが得策といえます。

注意したいのは売り方です。不動産仲介業者の場合は買い手が一般人、つまりCtoCとなります。一般人に不動産を売却する場合、売り手が契約不適合責任(売ったものが契約どおりの状態になっていない場合に売主が負うべき責任のこと)を負わなければなりません。後から物件に瑕疵(欠陥や不具合)があった場合は損害賠償や減額、あるいは契約の解除を請求される可能性があります。今回の事例のように、引き渡し後に建て替えを余儀なくされた場合、売主が解体費用や住宅再建費などを賠償しなければいけなくなる可能性が高いです。

不動産買取業者であれば、売り先はその業者であり、BtoC取引となります。契約不適合責任が免責となっていれば、仮に後からトラブルが発覚したとしても、損害賠償や減額、契約解除を請求される心配はありません

再建築不可物件を再建築可能にしたい

「どうしてもここに住みたい」「先祖代々受け継いだ土地だから」という強いこだわりや事情がある方なら、セットバックをするなど手間とコストをかけて再建築可能な状態にする価値はあるかもしれません。

しかし、そもそも再建築不可物件を再建築可能な状態にすることは非常に困難です。行政に届け出を出したり、役所の担当者と交渉を重ねたりなど、非常に手間がかかり専門知識も必要となります。未経験者が簡単にできるようなことではありません。

仮に再建築が可能になっても、後々問題が発生する可能性はあります。今回のような事例はそれほど多くありませんが、それでも一度トラブルになってしまうと非常に面倒です

よほどのこだわりや事情がない場合は、早めに手放すことも検討してみましょう。

リスクを取らず、再建築不可物件を賢く手放したい方

再建築不可物件は再建築をするにしても、売却するにしても、さまざまなリスクをともないます。一番良いのは契約不適合責任が免責となっている不動産買取業者に売却することです。

トラブル不動産売却センターなら、契約不適合責任は免責なので、後々トラブルに巻き込まれたり損失が発生したりするリスクはありません。再建築不可物件を中心に訳あり物件を専門的に取り扱ってきたため、物件活用ノウハウが豊富で販売ルートも充実しており、好条件での買取が可能です。特に海が見える物件やリゾート物件であれば、再建築不可物件でも高値がつく可能性があります。

再建築不可物件の悩みはなかなか人に相談できないものです。一人で抱え込まず、ぜひトラブル不動産売却センターにご相談ください

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