2022年08月25日
建物の建て替えが許されない再建築不可物件ですが、コンテナハウスを設置するという裏技があります。普通の家と同じというわけにはいかないかもしれませんが、この方法で土地を有効活用できるかもしれません。
今回は再建築不可物件におけるコンテナハウスの活用方法やメリット、注意点について解説します。再建築不可物件の活用にお困りの方はぜひ参考にしてください。
目次
そもそも再建築不可物件とは?
冒頭でも触れた通り、再建築不可物件は再建築、つまり建て替えや増築などが認められていない物件のことを指します。建築物を建てる際には建築基準法に従わなければならず、工事前には必ず行政や指定確認検査機関による建築確認を受けなければなりません。
建築基準法では「接道義務」というものが定められていて、建築物は一定の幅がある「道路」に接している必要があります。再建築不可物件はこの基準を満たしていないため、建築許可が下りません。
ちなみに建築基準法が制定されたのが1950年で、それ以前は接道義務がありませんでした。1950年以前に建てられた建物で道路に接していないものが、再建築不可物件になっているのです。
再建築不可物件の主な活用方法
再建築不可物件であっても、全く活用できないというわけではありません。たとえば自分の土地の一部を行政に明け渡して道路としてみなしてもらう「セットバック」を行えば、接道義務を満たしたことになり再建築ができるようになります。隣の土地が道路と接していれば、それを買取って自分の土地と合体することでも接道義務を満たすことが可能です。まるまる買取ってしまうのではなく、ほんの一部を譲ってもらうだけでも要件を満たせる可能性があります。
他にも今ある建物を活用するという手段があります。再建築不可物件であっても建築許可が不要なリフォームや修繕は可能です。新築と同じというわけにはありませんが、きれいにすることで自分が住んだり、賃貸に出したりすることも十分可能です。
使い道がないということであれば売却してしまうのも手です。再建築不可物件はどうしても資産価値が低く売れにくいのが実情ですが、専門の不動産会社であれば買取ってくれる可能性があります。多少なりとも利益が得られ、固定資産税や修繕費などの出費を抑えることが可能です。
再建築不可物件が建て替えできない理由や活用方法について、もう少し詳しく知りたい方は「【再建築不可物件所有者向け】建て替えできない理由とは?」もご覧ください。
再建築不可物件を活用したコンテナハウス運用
以上のように再建築不可物件であっても活用する方法はさまざまあります。ただし、セットバックすれば土地が狭くなってしまう、隣地を購入するには費用がかかる、リフォームしても築年数が古いことには変わりないなど、課題もたくさんあるのが事実です。
そこでおすすめなのが、今回のテーマとなっているコンテナハウスの設置です。これならセットバックや隣地の購入をしなくても済みます。老朽化した建物を維持し続ける必要もありません。
ここからは再建築不可物件におけるコンテナハウスの設置について考えていきましょう。
コンテナハウスの特徴
コンテナとはトラックや鉄道、船などで荷物を運ぶために使われる容器のことです。コンテナを連結させた貨物列車を見たことがあるかもしれません。大量の荷物や大きな荷物を運ぶ必要があるためコンテナは大きめに造られていて、人が中に入って積み込み作業をすることもできます。輸送中は揺れや衝撃、悪天候などで荷物やコンテナ自体が損傷しないようかなり頑丈な設計になっています。
こうしたコンテナを住居などに利用したのがコンテナハウスです。広くて耐久性があるので、人が中で過ごすこともできます。
無駄がないきれいな直方体の形状がおしゃれで「コンテナを住居に利用する」という斬新なアイディアに共感する人が増え、最近ではコンテナハウスが密かなブームとなっています。
コンテナハウス設置の利点
コンテナは法律上建築物とはみなされないため、再建築が認められていない敷地にも設置することが可能です。それに加えてさまざまなメリットがあって、再建築不可物件をコンテナハウスに転用するケースが増えてきています。コンテナハウス設置の利点について考えてみましょう。
本体購入費のみで運用開始
コンテナを敷地に設置するだけなので、建築工事が不要で、工期やコストを抑えられるのがコンテナハウスの魅力です。一般的な建物は基礎工事を行い、柱や梁などの構造物を建てて、断熱材や壁を施工して内部造作をし、内外装を作り込んで…というように、さまざまな工事が必要となります。それだけ工事費用もかかり、事前の準備も含めると年単位の期間がかかってしまうのが一般的です。
コンテナの製作費用はかかりますが、造ってしまえば敷地に設置をするだけなので、工事は一般的な建築と比較するとシンプルで済みます。その分時間やコストはかかりません。
ただし、随時かつ任意に移動できないコンテナは建築基準法で定義された建築物に該当します。いつでも移動できる状態にしておき、敷地内には牽引車(トレーラー)が入れるようにしておく必要があります。
撤去が容易
設置が簡単ということは撤去も簡単ということになります。一般的な建物であれば解体工事を行わなければならず、やはり工事費用や期間がかかってしまいますが、コンテナハウスであればトレーラーに牽引してもらって敷地から撤去するだけです。
牽引の費用はかかりますが、解体費用よりは安く抑えられる可能性が高いです。また、敷地から撤去するだけであれば1日で作業が完了する場合も多いです。中にはキャンピングカーのようなイメージで、コンテナハウスを移動させてさまざまな土地で暮らしているという遊牧民のような人もいます。
このように柔軟な運用ができるのもコンテナハウスの大きな魅力と言えます。
再建築不可物件におけるコンテナハウスの具体的活用法
設置や撤去が容易で工事費や工期を抑えられ、しかも性能やデザイン的にも優れているコンテナハウスには、さまざまな活用方法があります。うまくいけば今まで持て余していた・出費を出し続けていた再建築不可物件が、収益を生み出してくれる資産に変身するかもしれません。
コンテナハウスの活用方法については、主に以下のようなものが挙げられます。どう使うかは人それぞれです。これからご紹介する方法を参考にしつつ、ご自身のライフスタイルに合わせた使い方を考えてみてください。
居住
まず挙げられるのが住居です。一般的な戸建住宅と比較するとどうしてもスペースに限りがありますが、人が過ごせる空間は十分確保することができます。壁や床などの内装をおしゃれにして、キッチンなどの住宅設備やベッドなどの家具も入れることが可能です。コンテナを1つ設置すればワンルームマンションのような感覚で使うことができます。複数のコンテナを組み合わせれば家族と暮らすことも可能です。
そもそもコンテナは荷物を運ぶことを前提に造られているので頑丈で災害にも強く、防音性や断熱性能が高いので、長く・快適に過ごすことができます。
毎日過ごす自宅としてではなく、たまに泊まる別荘や宿泊場所にしてもいいかもしれません。コンテナといえど、作り込めば今まで建っていた建物よりは格段に快適に過ごせるようになる可能性は大いにあります。
倉庫
コンテナ本来の「荷物を入れる」という使い方もおすすめです。自宅に収まりきらない衣服や季節もの、アウトドア用品やスキー、釣りなど趣味に使う道具、車のタイヤや部品、バイク、農機具、仕事に使う資材や工具など、使い方は千差万別。十分な広さがあり、そもそも輸送用に造られているので、これほど優秀な収納スペースはありません。
また、倉庫兼作業場にするのにも最適です。たとえばバイクとパーツを収納して作業スペースを設ければ、ガレージとして使うことができます。
コンテナハウスを設置して倉庫にすれば、自宅もスッキリして生活の質が向上します。特にマンションやアパートに住まわれている方、市街地で自宅の広さに限りがある方にはおすすめの活用方法です。
貸し出し
コンテナハウスを設置して人に貸し出すという方法もあります。内装や設備、家具などを入れて人が寝泊まりできる状態にすれば、ホテルやウィークリーマンション、賃貸物件として貸し出すことも可能です。特に最近ではコンテナハウスをホテルにするケースが多くなってきています。
もちろん倉庫として貸し出すのもおすすめです。特に都心の人やマンション・アパートに住まわれている人は収納スペースに困られているケースが多く、トランクルーム(貸倉庫)の需要が高まっています。
他にもコアワーキングスペースやスタジオ、会議室など、さまざまな用途が考えられます。貸し出すことで負債であった再建築不可物件が、利益の出る資産に生まれ変わります。
事業活用
事業をされている方ならコンテナハウスを仕事に活用できないかも考えてみることをおすすめします。前述のとおり居住性が高いので、事務所にすれば快適に仕事ができます。小さな小売店や飲食店などの店舗を開くことも可能です。
他にも工場や作業場、商品や資材、工具を収納する倉庫としても活用できます。また、先ほどもご紹介したようにホテルや賃貸物件、貸倉庫、貸オフィスなどで開業するのもいいかもしれません。
こんなケースはコンテナハウスを設置できない!
再建築不可物件にコンテナハウスを設置すれば、さまざまな用途で活用することができます。しかし、コンテナならどんなものを設置しても、あるいはどこに設置してもいいというわけではありません。場合によっては建築基準法上の建築物とみなされる可能性があります。
コンテナハウスを設置する際には以下のことに注意が必要です。
一定の広さ以下の床面積
床面積が10㎡以上あるものは建築基準法上の建築物に該当し、建築確認が必要となります。そのため、コンテナは10㎡以下に抑えなければなりません。10㎡は5~7畳なので、ワンルームマンションの洋室と同じくらいの広さです。先ほどもご説明したとおり、1人であれば中で暮らすことはできるかもしれませんが、複数人が入ると少し手狭です。設備や家具を置くとなると家族全員で暮らすというのは少し難しいかもしれません。
防火地域・準防火地域に該当していない
防火地域・準防火地域も建築基準法の基準が適用されます。防火地域とは都市計画法第9条に定められている、「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」であり、ここに建物を建てるためには耐火性能や防火設備を備えなければなりません。駅前の市街地や幹線道路沿いなど、住宅が密集している場所や火災が延焼しやすい場所はだいたい防火地域あるいは準防火地域に指定されています。ご自身の物件が該当するかどうかご確認ください。
新築
輸送で使っていたなどの中古のコンテナを購入すれば安く上げられると思われるかもしれません。しかし、建築基準法では中古のコンテナをコンテナハウスに転用することは禁止されています。たしかにコンテナは頑丈ではありますが、長年使っているとサビや損傷が発生したりしていて強度が落ちている可能性があり危険です。そのため、コンテナハウスを設置する際にはそれ用に造られたコンテナを新しく購入する必要があります。
【注意!】自治体の独自ルール
他にも都道府県や市区町村の条例などでコンテナハウスの設置について規制されているケースがあります。建築基準法上はクリアしていても、自治体のルールで設置ができない場合がありますので、コンテナハウスを設置する前には必ず確認しておきましょう。
コンテナハウスを設置できても支出過多になるかも?
これまでコンテナハウスの設置に関するメリットについて見ていきましたが、デメリットもあります。今建物が敷地に建っている場合は、先にそれを解体しなければならず、費用がかかります。また、コンテナハウスを購入する費用や設置する費用、運用していく費用(固定資産税やメンテナンス費など)が必要です。
貸し出したり事業に活用したりすれば利益は得られるかもしれませんが、それが必ずしも成功するとは限りません。確かにセットバックをしたり隣地を買取ったりして新築の建物を建てるよりは安上がりになるかもしれませんが、無理に活用しようとするよりも、そもそも再建築不可物件を売却してしまったほうが最終的に得をする可能性もあります。
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コンテナハウスはさまざまな活用ができ、大きな可能性を秘めていますが、一方で設置するためには敷地が更地であることが前提です。それに加えて建築基準法や自治体のルールを満たさなければならない、限られた空間をどう活用するか考えなければならないなど、多くのハードルがあります。
当社では再建築不可物件の買取り・仲介をさせていただいております。更地にしたりコンテナハウスを設置したりといった手間や費用をかけなくても、物件を現状のままお売りいただくだけで現金化が可能です。持て余していた再建築不可物件が思わぬ利益になったというケースもあります。
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