年々増加する事故物件 神奈川県のオーナーが知っておきたい事故物件事情を解説

年々増加する事故物件 神奈川県のオーナーが知っておきたい事故物件事情を解説

2022年12月15日

事故物件とは過去に事故や事件などで住人が亡くなった物件のことを指します。とりわけ今、神奈川県内では自殺によって事故物件化する不動産が非常に多くなっているのです。

今回は少々内容がショッキングなので、本来ならあまり知りたくないような・気が滅入るような情報も含まれていますが、不動産オーナーなら知っておきたい事故物件の現状や活用方法についてご説明します。

神奈川県の自殺者数はコロナ前よりも上昇

神奈川県が発表している『令和3年における神奈川県の自殺者の状況』によると、これまで神奈川県内における年間の自殺者数は平成23年の1,852人をピークとして減少し、令和1年は1,076人まで減ったものの令和2年には1,269人に増加。翌令和3年には1,222人と若干減少に転じましたが、以前と比較すると高い水準にあります。

この要因として考えられるのはやはり新型コロナウイルスの影響です。景気が悪化し仕事を失った方や収入が減少した方が増え、経済的に困窮して亡くなられた方も少なくありません。また、行動制限がかけられる中で人と人とのつながりが希薄になり、慣れない生活様式の中でストレスが溜まり、孤独感や将来への不安をつのらせた結果、精神的に不安定になって自ら命を絶たれる方も増えてきているようです

近年では著名人が自ら命を断つショッキングな出来事も相次いでいます。こうしたニュースも自殺者数の増加の一因となっているかもしれません。

自殺の場所は自宅が約7割

自殺が発生する場所として圧倒的に多いのが自宅で、全年代でみても66%の方が自宅で自ら命を絶たれています。とりわけ60代は75%、80代は77%と、高齢者が自宅で自殺するケースが非常に多いです。自殺というと飛び降りや電車への飛び込みのイメージもあるかもしれませんが、高層ビルは6%、鉄道線路は4%程度です。

1,200人の66%は792人。つまり、神奈川県内だけでも自殺によって800件近い事故物件が毎年生まれているのです。こうしてデータをみると、改めて自殺による事故物件は不動産オーナーにとっては他人事ではないと感じさせられます。

特に高齢者が多い物件では、自殺に加えて孤独死が発生するリスクも高いです。

 

神奈川県で自殺者の多い地域

神奈川県で自殺者が多い地域は横浜市で令和2年度は498人ほど、次いで川崎市が198人、相模原市が123人という結果になっています。やはり人口が多い分、自殺者の絶対数も多いのが実情です。ただし、横浜市や川崎市が突出して自殺死亡率が高いかと言われれば、そうではありません。むしろ他のエリアと比較すると自殺死亡率は低い傾向があります。

どの地域であれ、残念ながら一定の人たちが自ら命を発つという選択をされているのが事実です。都心部であれ郊外であれ、事故物件化のリスクは多少なりともあります

市町村名自殺者数自殺死亡率
横浜市49813.3
川崎市19812.9
相模原市12317.0
横須賀市6015.2
藤沢市4610.6
大和市3715.6
厚木市3415.1

(出典:令和2年における神奈川県内で発生した自殺者の状況 について )
※本統計は、自殺の発見日、発見地における計上であり、自殺者の居住地とは異なります。
※自殺死亡率は、人口10万人当たりの自殺者数を示します。(自殺者数÷人口×100,000人)

増え続ける事故物件

 

事故物件とは

事故物件とは「心理的瑕疵」がある物件のことを指します。心理的瑕疵とは恐怖や不安感、不快感を与える要素のことです。とりわけ過去に物件内で自殺や他殺によって人が亡くなったという心理的瑕疵がある物件のことを一般的に「事故物件」と呼びます。事故物件の定義や所有することで生じるリスクについては後ほど詳しくご説明します。

一方で、心理的瑕疵がある物件がすべて事故物件であるかといえば、そうではありません。たとえば近隣に葬儀場や火葬場などの人の死に関わる施設があるケース、反社会的勢力や風俗店、新興宗教の拠点などの不安感や不快感を与える施設があるケースも心理的瑕疵に該当しますが、この場合は事故物件とはいいません

 

孤独死も事故物件になる

老衰や病気によって入居者が亡くなったケースは事故物件という扱いにはなりません。いわゆる自然死は誰にでも起こりえます。これらのケースも含めると、日本の大多数の物件は事故物件ということになってしまい、収集がつきません。ただし、孤独死の場合は別です。亡くなられてから発見まで期間が経過してしまい、遺体の腐敗が進んでいるケース、臭いや汚染が激しいケース、ゴミや残置物が散乱しているケースなどは事故物件として扱われる可能性があります。

特に近年では少子高齢化で単身の高齢者が増えていることから、孤独死の増加が社会問題となっています。実際に孤独死によって事故物件化するケースも非常に多いです。また、先ほどもご説明したとおり、高齢者は自宅で自殺する率が高い傾向があります。若年者が多い物件と比較すると、どうしても高齢者が多い物件は事故物件化するリスクが高くなってしまいます。

事故物件取り扱いのガイドラインを制定

 

告知する必要がないのは以下の3つ

事故物件を売却したり賃貸したりする場合、買い主や賃借人に心理的瑕疵があることを告知しなければなりません。これを告知義務と言います。事故物件が増加する中で、心理的瑕疵があるにも関わらずそれを隠すなどのトラブルも増加傾向にあります。また、どのケースなら告知が必要なのか、どのケースなら告知しなくても良いかという基準も曖昧でした。

そこで、国土交通省は令和3年に『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』を発行し、以下の3つのケースについて、指針を定めています。

1.自然死または不慮の死

自然死や不慮の死の場合は告知する必要はありません。ただし、前述のとおり孤独死して発見までに時間が経過して特殊清掃が必要になったケースなどでは告知が必要です。

2.自殺や他殺など①以外の死

自殺や他殺などによって物件内で人が亡くなった場合、物件の所有者は買い主に対してその旨を告知しなければなりません。なお、賃貸の場合は事案が発生してから3年経過すれば告知義務はなくなります

3.日常生活で使用しない共用部分や隣接する住戸で発生した自殺や他殺、特殊清掃が入った①の死

このケースでは告知する必要はありません。ただし、ホールやエレベーター、階段など日常生活で使用する共用部で事案が発生した場合は告知義務が生じます

それでも不動産オーナーにとってハイリスクな事故物件

 

自殺者の住居地も公表される

人が物件内で亡くなっても告知しなくていいケースもあるのですが、それでも事故物件を所有し続けることで多少なりともリスクが生じます。

自殺があった場合、警察庁の「地域における自殺の基礎資料」として発見場所と自殺者の居住地が公表されてしまいます。また、テレビや新聞、ネットニュースなどで報道され、事故物件の位置が検索できる地図サイトにも掲載される可能性があります。

これらによって告知義務の要件に該当していなかったとしても、自殺が発生したことが周辺の人に知られてしまったり、風評被害が発生したりするおそれがあります。また、報道されなかったとしても、物件内で自殺が発生したことが近隣住民の噂によって拡がるケースも少なくありません。その結果、買い手や入居希望者が見つかりにくくなってしまうことが考えられます。

 

家賃は約20~40%ダウン

瑕疵がある物件は資産価値が低いとみなされ、売却価格や家賃が一般的な物件よりも低くなってしまい、とりわけ事故物件はその傾向が高いです。過去に自殺が発生した物件の家賃は20~40%ほど下落してしまいます。また、たとえ周辺の物件よりも家賃を安くしたとしても、事故物件を忌避する人が多いため、買い手や賃借人がきわめてつきにくくなるのが実情です。

少なくとも告知義務の対象に該当するような事故物件になってしまった場合、収入が低下するか途絶える危険性は非常に高いといえます

 

固定資産税、維持費はそのまま

事故物件だからといって固定資産税や都市計画税が免除されるというわけではありません。毎年税金は支払い続ける必要があります。固定資産税や都市計画税は建物と土地の価値に応じて税額が決まりますが、事故物件だからといって税金が安くなるような措置もありません。

さらに、物件の修繕費や管理費などもかかり続けます。家賃がダウンしたり空室になって収入が途絶えたりした一方で固定資産税や物件の維持費ばかりを支払い続けた結果、赤字に苦しむ事故物件オーナーの方も少なくありません。

好立地、築浅の物件でも入居者探しは難しい

 

年数を経ても抵抗感は変わらない

最近ではあえて事故物件を狙って入居する人も増えてきていると言われています。たしかに好立地で築浅であれば、周辺の一般的な物件よりも安く入居できる事故物件を選択するというのは合理的な方法かもしれません。しかし、現実はそれほど甘くないです。

依然として事故物件に対して抵抗感を持っている人のほうが大多数です。株式会社MARKSが実施したアンケート調査によると、「事故物件に住めますか?」という問いに6割以上の人が「いいえ」と回答しています

また、およそ半数以上の人が、事故の発生から少なくとも10年以上経過しないと住めないと答えました。中には「30年以上経過しないと住めない」と答えた方もいらっしゃいます。

事故物件に抵抗なく住める方も増えてきているのも事実ですが、それ以上「過去にそこで人が悲惨な亡くなり方をした」という心理的瑕疵に対して大きなハードルを感じる方が多いのです。

前述のとおり、特に近年ではネットで検索すれば過去の報道が見られ、事故物件の位置がわかる地図サイトもあるため、物件が事故物件であるかどうかがわかりやすくなっています。むしろ事故物件を売却する・賃貸するハードルは上がっているといえるかもしれません。

Q. 事故物件に住めますか?

Q.事件、事故の発生から何年経った物件であれば住めるようになりますか?

出典:事故物件に住める人は49%!事故物件とそのガイドラインについて、意識・認知度の調査を実施しました。 | NEWSCAST

事故物件の活用方法

 

民泊

民泊とは「住宅宿泊事業法」の略であり、一般の民家に旅行客を宿泊させるサービスです。ホテルや旅館よりも安価で利用できるということで、外国人観光客を中心に需要が高まっています。宿泊施設の場合は告知義務がありませんので、民泊であれば事故物件であっても普通の物件と同じように運営できます。

ただし、営業日数が180日以内に限られるなど制限が多いのと、観光地や駅に近いなど立地が良くないと利用者が増えないのがデメリットです

 

駐車場

建物を解体して駐車場もしくはコインパーキングにするというパターンもよくあります。駐車場に関しても告知義務はありません。車を停める際にそこが事故物件かどうかを考える人はほとんどいませんので、有効な活用方法の一つと言えます。

デメリットは税金が高くなるということです。建物を解体してしまうと「小規模宅地等の特例」の対象外となってしまい、固定資産税が現在の6倍に跳ね上がってしまいます。また、やはり立地が良くないと収益が得られないというのも難点です

 

貸倉庫

企業や個人に貸倉庫として貸し出すという方法もあります。これであれば建物を解体しなくても良いので固定資産税が上がることはありません。

ただし、もともと普通の住宅であるため、コンテナなどと比較すると荷物の搬入出がし辛いというのがデメリットです。

収益が悪化した神奈川県の事故物件は売却を

以上のように事故物件を活用する方法もありますが、初期投資が必要になり、ノウハウがないとなかなか収益化が難しいため、かなりハードルが高いといえます。とはいえ、このまま事故物件を抱えていると固定資産税や維持費を負担し続けなければなりません。これ以上損失を出さないためには早めの売却が一番です。

トラブル不動産売却センターでは事故物件であっても確実に買取らせていただきます特殊清掃や残置物撤去、リフォームも必要ありません。現状のままお譲りいただけます。特に神奈川県内で利便性が高い地域、ロケーションが良い地域の物件であれば、高値での買取も可能です

所有されている不動産が事故物件化して困られている方、売却したくても不動産会社に断られて悩まれている方は、ぜひトラブル不動産売却センターにご相談ください。